京焼・清水焼Report
作家
作家インタビュー Vol.7 森里陶楽氏
2021/10/26
ほのかな紫色の素地に白色の土の花がいくつも咲いている華やかな器。今回、彼の作陶に対する思いや今の作風に至るまでをインタビューしました。
『土に花を咲かせ、心に花を咲かせる器』
陶芸家・森里陶楽は創作する上で、内面の気持ちと芸術的な感性の両方を大切にしている。
彼の作る器は日常使いが出来て、『ご飯をおいしくいただけた』というような、
使う人の心に晴やかな変化を生み出すようなものを作っていきたいと話す。
ほのかな紫色の素地に白色の土の花がいくつも咲いている。
古くは14世紀、朝鮮半島から伝来した三島手の技法が使われており、
一つ一つ刻印された装飾は丁寧な手仕事を彷彿とさせる。
実際に自らの手でふれることで、上品な風合いに愛着が湧くだろう。
紫の三島手は土に大きく左右される。
地方三か所から土を取り寄せて、今の作風の形に合うように土をブレンド。
すべて自然のものなので、その時々に調合は変わっていく。
蓄積された経験をもとに、思うような焼き色になるように配合をしていかなければならない。
ひとつひとつの素材に向き合い研究を積み重ね続けてゆく。
今の作風のきっかけは、たまたま窯の不都合があり紫の三島が焼き上がった。
その時は、いままでと違う色が出来上がったので失敗作と思っていた。
けれど、時間がたつにつれて違う可能性を見つけられ、今の‘金彩紫三島’に繋がった。
この出来事は彼にとって大きな転換期となり、
ふとした変革の中で自分の思うような感性を御盛り込みつつ今の作風に至るまで作り上げてきた。
『土に花を咲かせ、心に花を咲かせる器』
彼の作り出す器は、これからも自然とともに変わりながら、使う人の心を楽しくするような、
芸術と用の美が調和した作品を作り続けていく。