京焼・清水焼Report
作家
作家インタビュー Vol.8 竹村陽太郎氏
2021/12/18
『追い求めるところは造形や色のバランス』
器の表面には、柔らかな発色の釉薬でグラデーションが描かれている。
ロクロから手で作りあげられたとは思えない、その流れるような曲線美を目でたどる
独自のデザインが生まれる背景には、形の美しさを追求する姿勢があった。
彼は使い心地のいい、洗練された作品を作り上げるために
グラスやペットボトルの形、そして車に至るまで、
人が使って心地の良いとされるプロダクトデザインを研究し
土で成形していく。
なめらかな曲線をロクロで表現することは至難の業でもある。
けれど、造形のバランスは彼にとって一番大切にしている手仕事だ。
自然のかたちからインスピレーションを得て、
ふと浮かんできたアイデアを造形に落としこみ
思い通りの形にできるよう試行錯誤を重ねる。
彼が20代の頃は会社員をしていた。仕事で転勤も多く、一人暮らしのため、
食事や器に気を使わなくなっていた。
実家の食卓では父親の手づくりの器に料理が盛られて出てくることが当たり前だった。
その時、食事や器の大切さや魅力に気付き、
27歳で退職を決意、家業でもある陶芸に身を置き、自らの作風を築くに至った。
形や使いやすさを求めることを大切にしている一方で、
個々に魅力があるのが京都の焼き物。
「器そのものが完成されていて、料理を盛るとより魅力が増す器を作りたい」
一つの作品として確立している器に料理を盛ることで
より魅力が増していくようなものづくりをしていきたいと話す。
そのため、自分自身の焼き物をより広く知っていただけるよう表現したいものを作り続けてゆく。
「数多くある中、僕の作品を手に取っていただきありがとうございます。
新しい感覚として使っていただけると嬉しいです。」