京焼・清水焼Report
作家
作家インタビュー Vol.6 空女氏
2021/09/28
京都・絵付師 空女氏、彼女の作品は色鮮やかな細密画が特徴の「華薩摩」。ひとつひとつ異なるデザインを思い描いていく。彼女の作品に対する気持ちをインタビューしました。
『これだったら一生続けて行ける』
多彩な装飾と洗練されたデザインの革新はこれからも続いてゆく。
京都絵付師・空女は笑顔明るい姿。持ち前の好奇心は強く、新しいことを追及する。
明治の‘京薩摩’の技術そのものは伝承されずに、途絶えてしまったが、
現代、彼女の手により、鮮やかな色使いでその高度な細密画が蘇った。
‘華薩摩’と名付けられた彼女の作品は、形もデザインもすべて一点もの。
『人間が描いているのかと疑問に思ったほど、細かくて綺麗だった』
技術継承が途絶えていた京薩摩。
彼女は学生のころから絵を書くことが好きだった。
高校を卒業と同時に飛び込んだ絵付け仕事。最初は染付から始まり、教師の仕事もこなした。
40代の頃に初めて京薩摩に出会い、その卓越した絵付けの細かさに魅了された。
それに対し好奇心が掻き立てられてしまう。できないことをやりたい性分。
『ひとつひとつデザインの違うものを作っていこう』
そう思い立ち創作活動を始めた当時は何をすればいいか手探り状態の中
少しずつ道具や絵具を揃えていき、頭の中でデザインを構築して新しいものを考えるのが楽しく、
この仕事を一生ものにしようと思った。
年を追うごとに自分の中で要らないものが排除されていって
洗練されたバランスのいい落ち着いた作品がやっとできるようになった。
『せっかく京薩摩の新しい物を世に出せた私の代で終わるのではなく、技術をまなんで続けて行ってくれたらいいな』
工房には若手の職人たちが今もなお腕を磨いている。
技術の継承と共に華薩摩はこれからも新しくあり続けていく。